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心優しい死神★「トライガン・マキシマム」

2008/11/30 09:13
nobodyミスター・ノーボディ 」は、子供の頃に初めて見て以来、九条の好きな西部劇のベスト3に常に入っている映画です。正直言ってストーリイ的にはそれほど完成度は高くないんですが、テレンス・ヒル演じる“名無し”のガンマンのキャラクターが秀逸なのです。飄々としていて、いつも笑顔を絶やさない。言動は常識外れそのもので、何を考えているのかわからない。おバカに見えるけれど、頭はまずまず切れるらしい。そしてとてつもない銃の名手! ところがその神業に近いガンさばきを、相手を殺さずに戦闘不能に陥れることのみを目的にして使います。映画全編を通して彼は「不殺」を貫きます。どんな不利な状況も明るく悪知恵で切り抜けます。

「TGIGUN」という漫画の主人公、人類初の局所災害指定を受けたヒューマノイド・タイフーン、600億$$の賞金首のヴァッシュ・ザ・スタンピードというキャラクターは、この“名無し”のガンマンにそっくりです。「超」の字がつく凄腕のガンマンでありながら、徹底した平和主義を貫き、相手を殺さずに難局を切り抜けます。飄々としたお茶目なヤツです。ヴァッシュを狙う宿敵ナイヴズが「ガン・ホー・ガンズ」というクレイジーな殺し屋軍団を差し向けてきますが、ヴァッシュはそれらの刺客を、なんとか殺さずにかわしきります。ガン・ホー・ガンズの面々のイカれっぷりが気持ちいいほど劇画的なこともあって、このあたりの物語はコミカルな明るさにあふれています。第3巻の終わりでヴァッシュの衝撃的な正体が明らかになり、物語が急激にSF色を濃くするまでは、ですが。
trigun
で、前置きが長くなりましたが、今回読んだのはこの続編の「トライガンマキシマム」(全14巻)です。
昨年も一度読み始めたことがあったのですが、そのときには第1巻でギブアップしました。ヴァッシュの度を越した平和主義ぶりが突拍子もなく見えて「ついていけない」と感じたためです。(「マキシマム」は前作の「TRIGUN」ほど明るくないのです。飄々とした明るさの魅力を失ってしまったら、ヴァッシュの行動は非合理的そのもの。読者としては「何コイツ? バカじゃないの?」というのが第一印象で、作品世界に入り込むのは難しいのではないでしょうか)今回読み直してみても、その印象は変わりませんでした。第2巻も陰鬱な雰囲気と意味不明の登場人物の言動が延々と続き、お世辞にもcatchyな漫画とは言えません。
ところが。登場人物それぞれの背負うものが十分描かれ出した4〜5巻目あたりから、とつぜん面白さがずしっと効いてきます。地味に打たれ続けてきたボディブローがいきなり効き始めるように(遅すぎるんですがね、4〜5巻目では(笑))。そこから先は止まりません。ストーリイ&キャラクターの魅力に惹きこまれて、一気に読み進められます。とっつきが悪かった分、ハマり始めると深くハマります。
絵も、ゴチャゴチャしていて読みにくいです、正直言って。アクションシーンとか大規模な破壊シーンとか、何が起きているのか理解できません。ところがこの作品の面白さに気づき始めると、ひとつひとつの画面や登場人物のポーズなどが、見惚れてしまうほどカッコいいことがわかります。とにかく主人公ヴァッシュと相棒ウルフウッドはめちゃくちゃカッコよく描かれていますね。切れ味の良い名セリフもたくさん出てきます。
この作品は人から借りて読んだのですが、完全にハマってしまったので、たぶん自分で買い揃えると思います。面白かったです。けっして万人向きではありませんが。



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